いま話題の「シグネットリング」って? 結婚指輪・婚約指輪にもオススメしたい理由
「シグネットリング(印台リング)」を知っていますか?
シグネットリングは、大きく平坦な台座に、イニシャルや紋章が刻印された指輪のこと。
今はファッションリングの一つとして親しまれていますが、5000年以上のも歴史があり、深い意味をもつ特別なジュエリーなのです。
シグネットリングの歴史と由来
その特別な意味とは─
シグネット(【英】signet)は、公式な目的で使用される「印鑑」や「認印」という意味。その名が示すとおり、シグネットリングは古代や中世において、実際に印鑑や身分証明として使われたり、権威の象徴として身につけられたりしていました。
古代メソポタミア~古代エジプト
シグネットリングの最初のルーツは、古代メソポタミア文明において紀元前3500年頃から使われていた「ローリングシール(円筒印章)」だといわれています。筒状にした石などの表面に絵柄を彫り、粘土板にコロコロと転がして、契約書や領収証などに押印していました。そのローリングシールが古代エジプト文明でリング状に変化して、「ファイアンスリング」になります。石や陶器でできたファイアンスリングの台座には、身につけるファラオ・宗教指導者・貴族たちの力と権威を示す図柄やシンボルなどが刻印されていました。
ツタンカーメンのファイアンスリング(紀元前1300年代)出所:https://www.countrygentleman.co/post/signetring-world
中世ヨーロッパ
「シグネット」の意味合いが最も強かったのは、中世ヨーロッパの時代。14世紀のイングランド国王エドワード2世が、「すべての公式文書には、王の印章リングの印が必要である」と定めたことを機に、貴族たちの間でもシグネットリングが欠かせない存在になっていったのです。
重要な書類への署名には家紋やイニシャルを彫ったシグネットリングの印が不可欠で、その印には絶大な効力がありました。また、シグネットリングは「封蝋(たらした蝋に印をおして手紙に封をする手法)」のスタンプとしても使われ、14世紀のヨーロッパには、「シグネットリングで封蝋されていない書類は正式な書類と認められない」という法律まで存在していました。
大英博物館が所蔵するシグネットリング(16世紀後半~17世紀初頭) 出所:https://www.countrygentleman.co/post/signetring-world
映画「ハリー・ポッター」シリーズにも、封蝋で閉じられた手紙が登場する
近代ヨーロッパ
リングに代わる印鑑やスタンプが出てきたことによって、シグネットリングは書類や手紙の証明としての役割を終え、地位や身分をあらわすジュエリーとして愛用されるようになります。シグネットリングはもともと王族や貴族のみが所有できる指輪で「ステータス」の象徴でしたし、男性が華美な装飾品を身につけることを良しとされない中世~近代のヨーロッパにおいて、唯一許された男性のアクセサリーでもありました。そのため、シグネットリングは「紳士の指輪」という異名も持っているんですよ。
結婚指輪・婚約指輪に
シグネットリングを選ぶメリット
現代では「カレッジリング」とも呼ばれ、ファッションジュエリーとして人気のシグネットリングを、結婚指輪(マリッジリング)や婚約指輪(エンゲージリング)に選ぶカップルが増えています。結婚指輪や婚約指輪など、「一生モノ」の特別な指輪に、なぜシグネットリングが選ばれているのでしょうか。
個性的なデザイン
シグネットリングは、「ありきたりな結婚指輪・婚約指輪ではつまらない」「自分たちらしい個性を出したい」というカップルに人気があります。もし形が似たようなものでも、台座の刻印をオリジナルのものにすれば、ほかのカップルとかぶることはまずないでしょう。
Q.毎日身につけるには個性的すぎる?
A.重厚感のあるものだと、「仕事のときにつけられないかも…」「何か作業をするとき邪魔になったり、傷つけてしまうかも…」「そもそも似合わないかも…」と不安になるかもしれませんが、細身でシンプルなデザインのシグネットリングも販売されていますし、ハンドメイドのお店でオーダーメイドにするという方法もありますよ。
刻印がメインデザインであること.
結婚指輪はシンプルなデザインのもの、婚約指輪は宝石がメインであることが多いですよね。結婚指輪・婚約指輪には、二人のイニシャルや記念日を刻印するカップルが多いのですが、裏側に刻まれることがほとんど。でも台座の上に刻印をするシグネットリングなら、刻印がそのまま指輪のメインデザインになります。イニシャルや記念日はもちろん、二人でデザインしたモチーフなどを刻むのも素敵です。
Q.宝石がついたリングにも憧れているのですが・・・
A.シグネットリングにも、宝石を使ったデザインのものがあります。シグネットリング特有の平坦で大きな台座全体に石がはめこまれているタイプや、台座上に刻印とあわせて石をあしらったもの、指輪の側面に石が埋め込まれているものも見かけます。台座が大きい分、リング部分にも幅がありますので、側面でも石の存在感は抜群です。
「家門の象徴」「身分証明」の意味を持っていること
中世ヨーロッパ時代、シグネットリングは王族や貴族たちの身分証明として欠かせないものでした。しかし、一つのリングを作るためには莫大な費用がかかるため、財産として代々受け継がれていたといいます。今は結婚のときに「家門」を意識するような時代ではありませんが、これからパートナーと夫婦になり新しい家庭を築いていく証として、シグネットリングはまさにピッタリといえるのではないでしょうか。
「紳士の指輪」であること
シグネットリングは中世~近代のヨーロッパにおいて、紳士が身につけることを許されていた唯一のアクセサリーであり、由緒正しい指輪です。フォーマルな場で身につけても問題ありませんし、むしろフォーマルな場にふさわしいともいえます。英国の王室や上流階級には、「結婚指輪はつけなくてもシグネットリングだけは必ず身につけている」という男性も少なくないんですよ。正式には左手の小指につけるのが基本のシグネットリングですが、今はファッションリングとして好きな指につけている人がほとんどですし、もちろん女性にも愛用されています。
結婚指輪・婚約指輪に
シグネットリングをオーダーしよう
結婚指輪・婚約指輪にシグネットリングを選ぶなら、オーダーメイドやセミオーダーが可能なお店が断然オススメ。台座に大きく刻印できることがシグネットリングの魅力なので、ジュエリーブランドの既製品でも刻印するイニシャルなどは選びますが、オーダーメイド(セミオーダー)ならさらに自由度がアップ。一生に一度のジュエリーにふさわしい、世界に一つだけの指輪を作ることができます。
形が選べる!
シグネットリングの特徴である大きく平坦な台座、いわゆる「印面」にはさまざまな形があり、形によってイメージや着け心地が変わります。丸・楕円形のものだと、角がないので指によくなじみ、見た目も優しい印象に。四角形は円形よりも重厚感がありますが、縦幅を抑えた横長長方形の印面なら、スタイリッシュなイメージで指なじみも◎。より個性を出したいなら、三角形や多角形に挑戦するのも良いですね。
刻印が選べる・デザインできる!
オーダーメイドが可能なお店の場合、シグネットリングに刻む文字の書体や紋章のデザインが豊富で、たくさんの候補のなかから選べることが多いです。お店オリジナルの刻印デザインを展開していたりもするので必見。なかには、職人さんやデザイナーさんと一緒に1からデザインを考えたり、希望するデザインを刻印してもらえるお店もありますよ。
石の種類・大きさ・位置が選べる!
既製品にも石を使ったシグネットリングはありますが、石の大きさや位置などは決まっていることが多いですよね。オーダーメイドの場合、石の種類・大きさ・埋め込む位置なども含めてオーダーできるので、「リングの形や刻印には満足だけど、石が…」という悩みとは無縁。特定の石にこだわりがあってラインナップにない石を使いたい場合にも、仕入れが可能かどうか相談できます。
金属が選べる!
「デザインはいいのに、色が…」というのは、結婚指輪・婚約指輪を含めて、ジュエリーやアクセサリーを選ぶときにありがちな悩み。オーダーメイド(セミオーダー)なら多くの場合、金属の色や風合い(磨き方、加工など)まで希望をかなえてもらえます。また、金属アレルギーがある人の場合、金属のセレクトは最重要課題です。一生、毎日、安心して着けられる金属を、オーダーメイドで選びましょう。
歴史と格式があり、見た目にもオシャレなシグネットリングは、結婚指輪・婚約指輪にとてもオススメの指輪です。二人のイニシャルや記念日、デザインを刻んだシグネットリングは、まさに唯一無二のもの。一生に一度の「二人だけ」の指輪として、これからの人生を輝かせてくれるはず。個性と品性を兼ね備えたシグネットリングを結婚指輪・婚約指輪に選んで、周りのカップルとも差をつけちゃおう。